「南にモンパルナスvol.2ガパージュ隙間のページ」取材記事
2024.04.19

 ミナミナク・アートプロジェクト事務局です!
様々な個性や特技を持った方々が、ミナミナク・アートプロジェクト・サポーターとして本プロジェクトの活動を支えてくれています。
今回は、その中の1人、南区の将来を担う有望な若者「権瓶春菜(ごんぺい・はるな)」さんによる、南区アーティストのキーマンで「南にモンパルナスvol.2ガパージュ隙間のページ」の呼びかけ人・上杉高雅(うえすぎ・たかまさ)さんへのインタビュー記事を掲載します!

※インタビュー中の様子(写真左:上杉高雅さん、右:権瓶春菜さん)

南区×アートの可能性を信じて

令和6年(2024年)3月16日〜30日までの土日限定で、札幌芸術の森工芸館にて展覧会「南にモンパルナスvol.2ガパージュ隙間のページ」が開催されました。
札幌市南区にゆかりのあるアーティスト18名の作品が展示されたほか、ライブペイントバトル、モニュメントの公開制作、ワークショップ、舞台公演、参加アーティストによるトークセッションといったイベントも行われ、会場は多くの人で賑わいました。
今回は、南区にゆかりのある作家集団「南にモンパルナス」呼びかけ人のガラス作家・上杉 高雅(うえすぎ・たかまさ)さんにお話を伺いました。
インタビュー・記事作成:権瓶春菜(ごんぺい はるな)
 
 
─「南にモンパルナス」を立ち上げたきっかけは何ですか?
「一昨年、区制50周年記念で開かれた『南区芸術祭2022』がきっかけです。当時はまだ芸術祭の知名度も低かったため、普段から付き合いのある南区の作家9名で、連携企画としてグループ展を開催しようと集まったのが始まりでした。現在は南区芸術祭の認知が広がったため、『南区にこういう人たちがいるんだよ』と伝える団体として活動しています。」
 
─南区では多くのアーティストが活動をしていますね。
「南区は郊外でありながら、札幌中心の都市部にも行きやすい。これは歴史ある世界のアートのまちとよく似ています。高齢化や人口の減少が問題になっていますが、裏を返せば安価にアトリエとして使える空き家が増えるなど、アーティストにとっては都合のいい地域なのです。山梨の田舎で暮らしながら『自然のアンテナ』を育てていた私として、便利で自然との距離が近い南区は可能性のある地区だと思います」
 
─9名で始めたvol.1の頃と比べて、今回参加したメンバーは18名と随分増えていますね。
「個展の会場が隣だった人と話してみたらたまたま南区にゆかりのある人だった、などという経緯で人が増えていきました。このような現象は、『偶然』より可能性が高く『必然』程でもない、しかしそうなってもおかしくないだろうという意味の『蓋然』だと思います。偶然が重なって起きるこういった引き寄せこそ、アートの力だと考えます」
 
─展覧会全体としてテーマなどは決まっているのですか?
「基本的に、メンバーには担当のエリアのみを渡してその中で自由に展示してもらっています。この人数で話し合っても喧嘩になるので(笑)。学芸員さんが構成を考える展覧会もよくありますが、お客さんは主催者の作ったように見るとは限りません。見せ場のあるストーリーを作って伝える文学とは違い、アートはどこが見る人の心に引っかかるかは分かりません。見る人自身がそれぞれのストーリーを作って欲しいです」
 
─最後に、『南にモンパルナス』で今後やりたいことなどはありますか?
「今回は子ども向けのイベントが多く、小中学生の来場が多かったため、今後は高校生や大学生などのクリエイターを目指す若者も参加できるように、コミュニティの輪を広げていきたいですね。正直、来場者よりもアーティストそれぞれの思いや場づくりに焦点を当てていたのですが、実際に開催してみると思ったよりも多くの人が来てくれて驚きました。他のメンバーたちもクリエイターなので、きっと次にやりたいことをみんな色々と考えているはずです。展覧会最終日に行ったトークセッションは、次に向けて話し合う広がりのある取り組みです。この展覧会は、ご飯を食べるために作品をお金にする『ライスワーク』ではなく、やりたいことを隙間の時間(※)でやる『ライフワーク』の賜物です。今回のvol.2を通過点として、今後も各々がやりたいことをできる場として続けていきたいです」
 
トークセッションの中で、「南にモンパルナス」という団体は「ご近所さんの集まり」という言葉が出ていました。個性豊かな南区のご近所さんたちがこれからどのような活動を見せてくれるのか、期待が高まります。
 
※展覧会のタイトル「ガパージュ」とは、GAP(隙間に)PAGE(記されたもの)を組み合わせた造語。
 

※3/30に開催したトークセッション「南区アーティストダイアローグ Vol.2」の様子